結婚式は人生の大きな節目であり、多くの人にとって一生に一度のイベントです。そのため「一生に一度だから妥協したくない」と考え、豪華な式や演出を選ぶ人も少なくありません。しかし、実際には挙式や披露宴には数百万円単位の費用がかかり、自己資金だけでは賄いきれないケースも多いのが現実です。そこで活用されるのが「ブライダルローン」です。結婚式や新婚旅行といった目的に特化して利用できるローンですが、利用者の中には「後悔した」という声も少なくありません。この記事では、ブライダルローンの仕組みや特徴を整理し、なぜ後悔する人が多いのか、その理由と注意点、さらには後悔しないための代替手段まで詳しく解説します。結婚を控えたカップルが安心して資金計画を立てるための参考になるはずです。
ブライダルローンとは?
ブライダルローンの仕組み
ブライダルローンとは、結婚式や披露宴、新婚旅行など「結婚関連費用」に限定して利用できる目的別ローンの一種です。銀行や信販会社が商品を提供しており、借入可能額は数十万円から数百万円に及びます。申込時には「資金の用途を示す見積書や請求書」を提出する必要があり、資金使途が自由なカードローンやフリーローンとは大きく異なります。また、返済は元利均等返済が一般的で、返済期間は3〜7年程度に設定されることが多いです。結婚式費用の一部だけを補う人もいれば、新婚旅行まで含めて大きな額を借りる人もいます。カードローンよりも金利が低い傾向にありますが、用途が制限される点には注意が必要です。
利用できる人と審査基準
ブライダルローンを利用できるのは、安定した収入がある20代〜60代の社会人が中心です。審査基準としては「年収」「勤続年数」「勤務先」「信用情報」が重視され、特に年収200万円以上を目安にしている金融機関が多いとされています。また、結婚関連に限定されるため、式場や旅行代理店からの見積書や契約書の提出を求められることも少なくありません。カードローンと異なり「結婚予定日の証明」を提示しなければならないケースもあるため、柔軟性には欠けます。さらに、過去の延滞や金融事故がある場合には審査通過が難しくなるため、信用情報を気にする人にとってはハードルが高いローンといえるでしょう。
他のローンとの違い(カードローン・フリーローンなど)
ブライダルローンは、カードローンやフリーローンと比較すると「資金用途の自由度」が低い反面、「金利の低さ」というメリットを持ちます。カードローンは審査後すぐに利用でき、使途も自由ですが、金利が高いため結婚費用に使うと返済総額が大きく膨らむ恐れがあります。一方、フリーローンは資金用途が広く、まとまった資金を低めの金利で借りられる点がメリットですが、審査が厳しい傾向にあります。ブライダルローンは結婚関連費用に特化しているため、提携している結婚式場や旅行代理店での利用が前提となる場合もあり、商品性が限定的です。したがって「結婚資金にだけ充てたい」という人にとっては便利ですが、柔軟性を求めるならフリーローンの方が適している場合もあります。
ブライダルローンで後悔しやすいポイント
金利が高く返済総額が大きくなる
ブライダルローンはカードローンより低金利とされますが、銀行系ローンや住宅ローンに比べれば依然として金利が高い商品です。一般的に3〜15%程度の金利幅があり、数百万円規模で借入をすると返済総額が数十万円単位で膨らむこともあります。特に結婚式費用は一度きりの大きな支出であり、返済期間が5年、7年と長引けば「思い出の代償が重くのしかかる」と感じる人も少なくありません。利用当初は「月々数万円なら返せる」と思っていても、金利分が積み重なって家計に負担となり、後悔につながるケースが目立ちます。
結婚後の生活費を圧迫する
結婚式が終わった後に本格的な返済が始まるため、「新婚生活のスタートからローン返済に追われる」状況になる人も多いです。住宅の賃貸契約や引っ越し費用、新婚旅行、出産準備など、結婚後には新たな出費が続きます。その中でブライダルローンの返済が毎月数万円発生すると、生活費や貯蓄に回せるお金が減り、精神的なストレスにつながることもあります。本来なら「結婚後の将来設計」に使うべき資金がローン返済に取られてしまい、「無理をして結婚式を豪華にしたことを後悔した」という声は少なくありません。
離婚やライフイベントの変化で負担になる
ブライダルローンは長期にわたって返済が続くため、契約後にライフイベントが変化すると大きな負担になります。たとえば、結婚後すぐに妊娠・出産で収入が減ったり、転職や転勤で生活環境が変わったりするケースです。さらに不幸にも離婚となった場合、結婚式が既に終わっているにもかかわらず「二人で使った費用を一人で返済し続ける」事態になりかねません。実際に「ローンだけが残ってしまい後悔した」という体験談もあり、長期的なリスクを見据えずに契約することが失敗につながる典型例です。
他の使い道に資金を回せなくなる
ブライダルローンを利用すると、毎月の収入の一部が強制的に返済に充てられるため、他の使い道に資金を回しづらくなります。本来であれば新居の家具・家電の購入、将来の教育資金、資産形成のための貯蓄などに充てられるはずのお金が、ブライダルローンの返済に消えてしまうのです。特に若い世代では「結婚式の豪華さ」よりも「生活の安定」に重きを置く人も多く、後から「もっと堅実に使えばよかった」と感じるケースが増えています。後悔を避けるためには、式の規模やプランを見直し、必要最小限の借入にとどめる工夫が求められます。
後悔しないための代替手段
貯金を活用する
ブライダルローンを避ける最も堅実な方法は、事前に貯金をして結婚資金を準備することです。毎月少しずつ積み立てていけば、ローンを利用せずに式費用の多くをカバーできます。特に結婚が具体化する数年前から「結婚資金専用口座」を作って積み立てを行うと効果的です。借入をしないため、利息負担がゼロで済むのは大きなメリットです。もちろん急な事情で資金が不足するケースもありますが、ローンの利用額を減らせるだけでも後の負担を大きく軽減できます。
親族からの援助を検討する
結婚は家族にとっても大切な節目であるため、親や祖父母から資金援助を受けるケースも多くあります。近年では、結婚資金の援助に対する贈与税の非課税制度(一定額まで)が設けられており、節税面でも有利に利用できます。援助を受けることに心理的な抵抗を感じる人もいますが、返済義務のあるローンに頼るよりも、結果的に経済的・精神的な負担が軽減される場合が多いです。事前に話し合って支援をお願いするのも一つの選択肢です。
ご祝儀を前提にした計画を立てる
結婚式では多くの場合、参列者からのご祝儀が一定額見込めます。地域や規模によって異なりますが、一人当たり2〜3万円が一般的で、人数が多ければ数百万円規模の収入となることもあります。これを資金計画に組み込むことで、借入額を最小限に抑えることが可能です。ただし、ご祝儀をあてにしすぎると予想外の出席人数減や相場とのズレで計画が崩れるリスクもあるため、余裕をもった見積もりが必要です。
クレジットカード分割やフリーローンとの比較
ブライダルローン以外の手段として、クレジットカードの分割払いやフリーローンを活用する方法もあります。クレジットカードの分割払いは手軽ですが、金利や手数料が高いため長期返済には不向きです。一方、フリーローンは使途が自由で、ブライダルローンよりも低金利の商品が見つかることもあります。利用条件や金利を比較し、自分の状況に最も適した手段を選ぶことが重要です。「ブライダルローン=唯一の選択肢」と考えず、幅広い選択肢を検討することで後悔を防げます。
失敗しないブライダルローン利用のポイント
無理のない返済計画を立てる
ブライダルローンを利用する場合、まず大切なのは「無理のない返済計画」を立てることです。結婚後は生活費や住居費、新生活にかかる支出が増えるため、返済額を過小評価すると家計を圧迫しかねません。金融庁は「返済能力に応じた借入を行うこと」を強調しており、月収の20〜30%以内に返済を収めるのが理想とされています。ボーナス払いを設定する際も、将来的な収入変動を考慮する必要があります。式の規模を調整したり、頭金を増やすことで借入額を抑える工夫も有効です。
借入額を最小限にする
「必要な分だけ借りる」ことも後悔を防ぐ大切なポイントです。豪華な式を実現するために大きな借入をすると、結婚後の返済負担が長期に及びます。ブライダルローンはあくまで補助的に使い、不足分をカバーする程度に抑えるのが望ましいでしょう。具体的には、自己資金や親族からの援助、ご祝儀収入を前提に資金計画を立て、借入額を最小限に設定します。借入額が少なければ、返済総額も減り、生活への影響も軽減されます。
事前に複数社の金利を比較する
同じ「ブライダルローン」でも、金融機関によって金利や返済条件は大きく異なります。銀行、信販会社、式場提携ローンを比較すると、金利差が年数%単位で開くことも珍しくありません。そのため、必ず複数社の見積もりを取り、総返済額を比較することが重要です。また、金利だけでなく「繰り上げ返済の可否」「手数料の有無」も確認しておくべきポイントです。情報を集めずに即決すると、後から「もっと条件の良いローンがあったのに」と後悔する原因になります。
ブライダルローンに関してよくある質問
ブライダルローンはいくらまで借りられる?
ブライダルローンの借入可能額は、金融機関や商品によって異なりますが、一般的に10万円〜500万円程度が目安です。多くの銀行は上限を300〜500万円に設定しており、信販会社の商品では数百万円まで対応しているケースもあります。ただし、実際に借りられる金額は年収や信用情報、希望する返済期間によって決まります。年収の3分の1程度を上限とする「総量規制」は、銀行ローンには直接適用されませんが、審査では返済能力が重視されるため、希望額すべてが通るわけではありません。
結婚式場が提携するローンと銀行ローンの違いは?
結婚式場が提携するブライダルローンは、手続きが簡単でスピーディーに利用できるのが特徴です。式場での契約と同時に申し込めるため、時間を節約できるメリットがあります。しかし、金利はやや高めに設定されていることが多く、総返済額が膨らむリスクがあります。一方、銀行のブライダルローンは金利が低めに設定される傾向があり、総返済額を抑えやすいのがメリットです。ただし、審査は厳しめで、手続きにも時間がかかるため「利便性かコストか」で選ぶことが重要です。
途中で繰り上げ返済はできる?
多くのブライダルローンでは、途中での繰り上げ返済が可能です。繰り上げ返済には「一部繰り上げ」と「全額繰り上げ」があり、利息負担を軽減できるのが大きなメリットです。ただし、金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかる場合があり、特に信販系のローンでは注意が必要です。契約前に「繰り上げ返済の可否」と「手数料の有無」を確認しておくことで、将来的に余裕資金ができた際に柔軟に対応できます。計画的に返済を進めたい人にとっては重要なポイントです。
まとめ
ブライダルローンは、結婚式や新婚旅行といった大きなイベントを実現するために役立つ一方で、返済が長期化したり生活費を圧迫することで「後悔した」と感じる人も少なくありません。特に金利負担の大きさや、結婚後のライフイベントによる収入変動、さらには離婚といった想定外の事態により、返済が重荷となるリスクがあります。
後悔を避けるためには、まず借入額を最小限にとどめ、無理のない返済計画を立てることが重要です。また、貯金や親族からの援助、ご祝儀収入の活用といった代替手段を組み合わせることで、借入依存度を下げる工夫も効果的です。さらに利用を検討する際には、複数の金融機関の商品を比較し、金利や手数料、繰り上げ返済の可否などを十分に確認してから決断することが求められます。
結婚式は人生の大切な節目ですが、その後の生活があってこそ幸せが続きます。ローンに頼りすぎず、将来のライフプランを見据えた資金計画を立てることが、後悔しない結婚準備の第一歩といえるでしょう。
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