「NISAを始めたほうがいい」「とりあえずオルカン」「老後のために今から投資」。
資産形成に関する情報は増えましたが、その一方で「自分の場合はどうなのか分からない」という不安を抱えたまま、半ば惰性で続けている人も多いのではないでしょうか。
今回参加した「投資の赤ペン先生」セミナーは、銘柄やテクニックを教える場ではありません。
今の資産形成が、自分の人生設計に対して“本当に合っているのか”を答え合わせすることを目的とした内容でした。
セミナー概要
| セミナータイトル | 投資の赤ペン先生 お金のプロがあなたのNISA銘柄をその場で添削 |
| 主催 | 株式会社ABCash Technologies |
| 開催日時 | 2025年12月19日20:00~21:00 |
| 開催場所 | オンラインにて開催 |
| 対象 | ー |
| 参加費 | 無料 |
本セミナーは、事前に集めた複数の相談事例をもとに、ファイナンシャルコンサルタントがその場で「添削(赤ペン)」を入れていく形式で進行しました。
銘柄やテクニックを一方的に解説するのではなく、年齢・家族構成・収入・今後のライフイベントといった前提条件を分解しながら、「その人にとって今の資産形成が本当に合っているのか」を検証していく内容です。
NISAやインデックス投資といった一般論を前提にしつつも、「状況によってはそれが最適解にならないケースがある」ことを、具体的な事例を通して示していた点が特徴的でした。
セミナーレポート
「正解があるのに不安が消えない」投資迷子の正体
セミナー冒頭で語られたのは、ここ数年で日本の投資環境が大きく変わったという話でした。
投資をする人は増え、情報も簡単に手に入るようになったにもかかわらず、不安を感じる人は減っていない。
その理由として提示されたのが、「世の中で語られる問い」と「本人が本当に知りたい問い」がズレているという視点です。
SNSやメディアで語られるのは、
- 一番いい商品は何か
- 手数料が安いのはどれか
- 過去リターンが高いのはどれか
といった「一般論としての正解」である一方で、多くの人が本当に知りたいのは、
- 今の年齢・家族構成・収入でその選択は合っているのか
- これからのライフイベントを考えても続けて大丈夫なのか
という「自分にとっての正解」です。この答え合わせができていないことこそが、不安の正体だと説明されました。
以下に本セミナーないで紹介されていた、印象的な添削を紹介します。
公開添削①:現金を持ちすぎているケース
最初に紹介されたのは、総資産1,000万円のうち約8割が現金という40代女性の事例です。
積立投資は行っているものの、現金比率が高く、結果として資産が十分に働いていない状態でした。
ここで重要だったのは、本当に必要な現金を整理したうえで、「それ以上の現金を持つ意味は何か」を問い直す視点です。
「なんとなく不安だから」という理由で現金を多く持ち続けることは、インフレ局面では実質的な機会損失につながります。
公開添削②:ライフイベントで優先順位が崩れているケース
次に紹介されたのは、育休からパート復職を控えた30代女性の事例です。
NISA・iDeCo・保険などを真面目に積み立ててきたものの、復職後の収入減と保育料を加味すると、家計が苦しくなる可能性が高い状態でした。
ここで印象的だったのは、「老後資金を最優先にすることが、必ずしも正解ではない」と明言された点です。
状況によっては、
- NISAを一時停止する
- iDeCoを最低額にする
- 保険を見直す
といった判断も合理的であり、順番を整えることで、住宅・教育・老後すべてのゴールが現実的になるという説明がされました。「投資を止める=失敗」という固定観念を崩す内容でした。
Q&Aで一貫していた考え方
Q&Aでは、米国株集中への不安、商品を買いすぎて整理できないケース、奨学金返済を投資で賄う是非など、よくある悩みが取り上げられました。
一貫していたのは、
- 銘柄選びよりも全体設計
- 分散よりも管理のしやすさ
- 感情ではなく合理性
を重視する姿勢です。
「何を買うか」で悩む前に、「いつ・何のために・いくら必要なのか」を明確にする。
判断基準を持たずに商品だけを増やすことが、かえって後悔につながるというメッセージが随所に込められていました。
参加してみての感想
今回印象的だったのは、オーソドックスな正解を押し付けるのではなく、個別事例ごとに“添削”していくスタイルだった点です。老後に向けた資産形成だけが正解ではなく、場合によってはNISAをやらない判断もあり得る、という話は特に印象に残りました。
紹介された事例の中に、自分と完全に一致するケースがあったわけではありません。ただ、それぞれの状況を要素分解していくと、自分と重なる部分もあり、「そういう考え方もあるのか」と感じる場面が多くありました。
お金の使い方や資産形成の正解は、複数の要素が絡み合って決まるため、セミナー内容をそのまま真似すれば解決するわけではありません。それでも、自分と似た要素を持つ人が別の角度から添削されているのを見ることで、自分自身も一度プロの視点で添削を受けてみたいと感じるセミナーでした。
このセミナーがおすすめの人
① NISAやインデックス投資を「とりあえず」で続けている人
- 周りがやっているからNISAを始めた
- オルカンやS&P500を買っているが、深く考えたわけではない
- 「長期・分散・積立が正解」と聞いたので、そのまま続けている
このタイプの人は、一見“正しいこと”をしているようで、自分なりの判断基準を持っていない状態に陥りがちです。
本セミナーでは、「NISAをやっているかどうか」ではなく、今の収入・家族構成・将来の支出に対して、その選択が合っているかという視点で添削が行われます。
「続けているから大丈夫」ではなく、「続ける理由を説明できる状態」になりたい人に向いています。
② 老後資金ばかり意識して、他の選択肢が見えなくなっている人
- とにかく老後が不安で、投資=老後対策だと思っている
- 住宅購入や教育費よりも、老後資金を最優先している
- iDeCoや年金保険を“安心材料”として積み増している
セミナー内では、「老後資金を最優先にすることが、必ずしも正解ではない」という話が繰り返し出てきました。
人生の中では、住宅・教育・転職・休職といった老後より先に訪れる支出や意思決定のほうが、実は失敗すると取り返しがつかないケースもあります。
老後だけを見て今を犠牲にしていないか、一度立ち止まって考えたい人にとって、このセミナーは視野を広げてくれます。
③ ライフイベントを控えている、または直近で環境が変わった人
- 結婚・出産・育休・復職・転職などを控えている
- 収入や働き方が変わる予定がある
- 家計の前提条件が変わりそうだが、投資設定はそのまま
このセミナーで紹介されていた事例の多くは、「環境が変わったのに、設定を変えていない」ことが原因で起きた問題でした。
投資や積立は一度決めたら終わりではなく、ライフステージに合わせて優先順位を入れ替える作業が不可欠です。
「今の積立、いつ決めたものだっけ?」と一瞬でも思った人には、特に刺さる内容だと思います。
④ 情報は集めているのに、最終判断ができない人
- SNS・YouTube・記事をたくさん見ている
- それぞれ言っていることが違って混乱している
- 結局、何も変えずに時間だけが過ぎている
このタイプの人は、知識が足りないのではありません。「自分の場合はどう判断するか」を決める軸がないだけです。
セミナーでは、銘柄や商品を増やす話よりも、「何を目的にしているのか」「いつまでにいくら必要なのか」「どこまでリスクを取れるのか」といった“前提条件”を整理することの重要性が強調されていました。
情報収集を続けるより、一度答え合わせをしてスッキリしたい人に向いています。
逆にあまり向いていない人
- 個別株の売買やチャート分析を楽しみたい人
- 投資そのものを趣味として深掘りしたい人
- 明確な答えや銘柄名をその場で教えてほしい人
まとめ
このセミナーは、「投資で成功したい人」よりも、「選択で後悔したくない人」向けです。
「正解の商品」を探し続ける限り、投資の不安はなくなりません。
このセミナーが示していたのは、後悔しないために必要なのは知識量ではなく、判断基準を持つことだという点でした。
人生の変化に合わせて資産形成の正解も変わる以上、定期的に立ち止まって答え合わせをすることが重要になります。
今の選択に少しでも迷いがある人にとって、考え方を整理する良いきっかけになるセミナーだったと感じました。
