車は人生の中でも大きな買い物の一つであり、多くの人がローンを利用して購入しています。
しかし「ディーラーローンと銀行ローンは何が違うの?」「残価設定ローンって本当にお得?」など、ローンの種類や仕組みを理解しないまま契約すると、後で後悔する可能性があります。
この記事では、車をローンで買う際に知っておくべきローンの種類やメリット・デメリット、利用の流れや注意点を整理しました。これから車を購入する方にとって、最適なローン選びの参考になる内容です。
車購入で利用できるローンの種類
ディーラーローン(販売店ローン)
ディーラーローンとは、自動車販売店が信販会社などと提携して提供するローンのことです。特徴は、車の購入契約と同時に手続きできる利便性の高さです。
審査も比較的スピーディーで、勤務年数や収入の条件が厳しくない場合もあります。
その一方で、金利は銀行ローンよりも高めに設定されるケースが多く、総返済額が膨らみやすいというデメリットもあります。「手続きの簡単さ」と「金利の高さ」がトレードオフになる点を理解しておくことが大切です。
銀行ローン
銀行ローンは、銀行が直接提供する自動車ローンを指します。金利はディーラーローンより低めに設定されることが多く、総返済額を抑えたい人には有利です。
また、固定金利や変動金利を選べるなど条件の柔軟さも魅力です。ただし、審査基準はディーラーローンより厳しく、安定した収入や勤務年数が重視されます。
また、手続きもディーラー経由に比べると煩雑で時間がかかることがあり、車購入のスピード感を重視する人には不向きな場合もあります。
信販会社ローン
信販会社ローンは、オリコやジャックスといった信販会社が提供するローンで、ディーラーを通じて申し込むケースが多いです。
ディーラーローンと似ていますが、金融機関との直接契約ではなく信販会社との契約になる点が特徴です。金利は銀行ローンより高めですが、ディーラー側での手続きが完結するため利便性が高く、審査も比較的柔軟に行われることが多いです。
また、提携ディーラーによってはキャンペーン金利が適用されることもあり、条件次第では割安に利用できるケースもあります。ただし、総返済額を抑えたい場合には銀行ローンの方が有利となる可能性があります。
残価設定ローン(残クレ)
残価設定ローン(残クレ)は、購入した車の将来の下取り価格(残価)をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額を分割で支払うローンです。
月々の返済額を抑えられるのが最大のメリットで、若年層や新車購入者に人気があります。契約期間終了時には「残価を支払って車を買い取る」「新しい車に乗り換える」「車を返却する」といった選択肢が用意されています。
ただし、走行距離制限や車両の状態に応じて返却時の査定額が下がるリスクもあり、思ったより費用がかかるケースもあります。
短期的な負担を軽くしたい人には有効ですが、長期的に乗り続けたい人には必ずしも適さない場合があります。
自社ローンの特徴
自社ローンとは、ディーラーや中古車販売店が自社独自で提供する分割払い制度です。信販会社や銀行を通さずに販売店と直接契約を結ぶため、過去に金融事故があり信用情報に不安がある人でも利用できる場合があります。
一般的に「金利ゼロ」と表記されることもありますが、実際には車両価格に上乗せされているケースが多く、結果的に総支払額が割高になる可能性があります。
また、完済まで所有権がディーラー側に残るため、途中で売却や乗り換えがしにくい点にも注意が必要です。利用を検討する際は、条件や支払い総額をしっかり確認することが大切です。
各ローンのメリットとデメリット
ディーラーローンのメリット・デメリット
ディーラーローンの最大のメリットは、車の購入契約と同時に申し込みができ、手続きがスムーズな点です。審査も柔軟に行われるケースが多く、利用できる人の幅が広いことも利点といえます。
しかし、デメリットとしては金利が高めに設定されていることが挙げられ、銀行ローンに比べると総返済額が大きくなりがちです。利便性を優先するか、コストを重視するかで選択を分ける必要があります。
銀行ローンのメリット・デメリット
銀行ローンのメリットは、金利が低めに設定されており総返済額を抑えやすい点です。
また、固定金利や変動金利を選べるなど契約条件の幅が広く、自分の返済計画に合った商品を選択できます。
一方、デメリットは審査が厳しく、安定した収入や勤務年数などが重視されることです。さらに、手続きに時間がかかる場合があり、すぐに車を購入したい人には不向きなケースもあります。
残価設定ローンの注意点
残価設定ローンは月々の返済額が抑えられるため、若い世代や初めて車を購入する人に人気があります。
しかし注意点も多く、まず契約期間終了時に「買い取り・乗り換え・返却」の選択を迫られる点です。特に返却の場合は走行距離制限や車両の状態が厳しくチェックされ、基準を超えると追加費用が発生するリスクがあります。
長期的に同じ車に乗りたい人には不向きな制度であるため、将来のライフプランを踏まえた選択が必要です。
車をローンで買うときの流れ
仮審査・本審査のステップ
車をローンで購入する際には、まず仮審査から始まります。
仮審査では、年収・勤務先・勤続年数などの基本情報を基に、融資可能かどうかを簡易的に判断します。仮審査に通過すると本審査へ進み、本人確認書類や収入証明書を提出して詳細な審査を受けます。
ここでは信用情報機関への照会も行われ、過去の返済履歴や債務状況が確認されます。本審査に通過すれば正式に契約が成立し、車の引き渡しへと進む流れです。
出典:CIC「信用情報とは」
頭金やボーナス払いの扱い
車のローン契約では、頭金を設定することで借入額を減らし、月々の返済額を抑えることが可能です。
また、多くのローン商品ではボーナス払いを組み合わせることができ、夏と冬のボーナス時期にまとまった額を返済する仕組みもあります。
ただし、ボーナス払いに依存しすぎると、万が一ボーナスが減額された際に返済が難しくなるリスクもあります。そのため、生活に無理のない範囲で計画的に組み込むことが大切です。
契約時に必要な書類
車をローンで購入する場合には、本人確認書類(運転免許証など)、収入証明書(源泉徴収票や給与明細)、印鑑証明書などが必要です。銀行ローンの場合はさらに、購入予定の車両に関する見積書や注文書が求められることもあります。
これらの書類を正しく準備していないと審査に時間がかかるため、事前に必要書類を確認しておくことが重要です。ディーラー経由のローンでは販売店が手続きを代行することも多く、比較的スムーズに進むのが特徴です。
失敗しないためのポイント
金利だけでなく総支払額を比較する
車をローンで購入する際、多くの人が金利だけに注目しがちですが、重要なのは総支払額です。
たとえ金利が低くても返済期間が長ければ支払総額は膨らみます。逆に金利が高めでも短期間で完済すれば、総支払額を抑えられる場合もあります。
複数のローンを比較する際は、月々の返済額だけでなく「返済総額」を必ず確認することが、無理のないローン選びのポイントです。
残価設定ローンは返却条件を確認
残価設定ローン(残クレ)を選ぶ場合、返却時の条件を必ず確認しておく必要があります。走行距離制限を超えていたり、車両に大きな傷や修復歴があると、返却時に追加費用が発生することがあります。
また、ライフスタイルの変化で長く同じ車に乗り続けたい場合、残価を支払って買い取ることも検討しなければなりません。残価設定ローンは月々の負担を軽減できる反面、制約がある仕組みである点を理解して選択することが大切です。
無理のない返済計画を立てる
ローン契約で最も重要なのは、生活に負担をかけない返済計画を立てることです。車のローンは数年単位の契約となるため、収入やライフイベントの変化を考慮して月々の返済額を設定する必要があります。
金融庁も「返済能力に見合った借入を行うことが大切」と指摘しており、借入額を抑える工夫や、繰り上げ返済の活用も有効です。短期的な返済額の軽さだけで判断せず、長期的な視点で計画することが失敗を避ける最大のポイントです。
車をローンで買うことに関してよくある質問
頭金ゼロでもローンは組める?
頭金ゼロでも車のローンは組むことが可能です。ディーラーローンや信販会社ローンでは、頭金なしで契約できるプランも多数用意されています。
ただし、その分借入額が大きくなるため、毎月の返済額や総支払額は増加します。さらに審査においても、頭金を入れないよりは入れた方が有利とされる場合があります。
無理のない返済を考えるなら、可能な範囲で頭金を準備してから契約するのが望ましいでしょう。
仮審査に落ちたら別のローンは申し込める?
仮審査に落ちた場合でも、別のローンへ申し込むことは可能です。金融機関ごとに審査基準が異なるため、A社で否決されてもB社で通過するケースは少なくありません。
ただし、短期間に複数のローンに申し込むと、信用情報に「申込履歴」が残り、かえって審査に不利になる恐れがあります。そのため、申し込みは計画的に行い、自分の条件に合ったローンを見極めることが大切です。
途中で繰り上げ返済はできる?
多くの自動車ローンでは、途中で繰り上げ返済を行うことが可能です。繰り上げ返済には「一部繰り上げ」と「全額繰り上げ」があり、利息の軽減効果が得られるのがメリットです。
ただし、金融機関や契約内容によっては繰り上げ返済手数料が発生することがあります。契約前に繰り上げ返済の可否や手数料の有無を確認し、余裕があるときに活用することで総返済額を抑えられます。
まとめ
車をローンで購入する場合、ディーラーローン・銀行ローン・信販会社ローン・残価設定ローンなど複数の選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、「手続きの簡単さ」を取るか「低金利」を優先するかなど、状況や希望に応じて選ぶ必要があります。
ローンを組む際は、仮審査と本審査の流れを理解し、必要書類をきちんと準備することが大切です。また、金利だけでなく総支払額を比較し、残価設定ローンの制約条件なども確認しておくことで、後悔のない選択ができます。
最も重要なのは、生活に無理のない返済計画を立てることです。ローンは長期間にわたる契約になるため、ライフスタイルの変化も考慮しながら、計画的に利用しましょう。
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